株主総会の決議要件

株主総会では、株主投票によって賛否を確認し、賛成多数であれば議案が可決されます。選挙に似ていますが、大きな違いがあります。それは、一人一票ではないということです。株主総会では、株数に応じて票の数が異なります。一票しか持っていない株主もいれば、何万票という大株主も存在することとなります。これは、多額の出資を行っている株主が相応の権利を行使するという考えに基づいており、配当金の受け取りなども株数に応じて行うこととなります。

さて、上記で「算数多数であれば議案が可決される」と書きましたが、議案の種類によって要件が異なってくるので以下で説明いたします。


■まずは定足数を確認する

定足数とは決議するのに必要な出席議決権の割合です。株主総会を開催しても、会議に参加せず書面投票もしない場合は、欠席したことになります。欠席者が多すぎると、決議できないことになっているのです。定足数は、株主数ではなく議決権数で考えます。議案によって、会社法が定める定足数が異なることに注意が必要で、定款によって各社の定足数を定めていることがほとんどですので自社の定款も必ず確認してください。


(普通決議)

定足数:行使できる議決権の半数。定款によって、変更したり排除することが可能

決議に必要な賛成率:出席した議決権の過半数

 ・会計監査人の選任・解任・不再任

 ・役員の報酬等

 ・剰余金の配当

 ・合意による自己株式の取得

 ・準備金の減少など


(特則普通決議)

定足数:定款によって1/3まで排除できる(1/3未満にはできない)

決議に必要な賛成率:出席した議決権の過半数

 ・取締役・会計参与・監査役の選任など


(特別決議)

定足数:行使できる議決権の半数。定款によって、「1/3以上の割合」を定めることも可能

決議に必要な賛成率:出席した議決権の2/3以上。「2/3以上の割合」を定めることも可能

 ・株式の併合

 ・募集株式の発行等における募集事項の決定

 ・新株予約権発行に係る募集事項の決定

 ・取締役・監査等委員である取締役・ 監査役の解任

 ・役員等の損害賠償責任の一部免除

 ・定款変更

 ・会社分割、株式交換、株式移転など


(特殊決議)

下記のような場合は特殊決議と言われていますが、実務上の取り扱いはほとんどないと思われるのでここでは省略いたします(会社法309)。

 ・株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定めを新たに定款に定めるとき

 ・全部の株式に譲渡制限をかける旨の定款変更など